相続に悩む人が増えていると言われています。その理由の多くは、相続税の支払いです。
将来的に発生するであろう相続の問題。早い段階からの正しい知識を身につけて、準備をしておくとよいでしょう。
ここでは、条件によって異なる相続税の税率と控除ついて考えてみたいと思います。

相続税の税率ってどれくらい?

まずは、法定相続人とそれ以外の場合で比べてみましょう。

法定相続人として相続した場合の税率

基本的に相続とは、故人の財産を法律で定められた法定相続人が引き継ぐことです。
法定相続人とは配偶者や子供を指すことが多く、彼らが不在の場合は、法律に従って両親・兄弟姉妹などが認定されます。

法定相続人への相続税率は、相続分に応じた税率が採用されます。税率は10%から55%まであり、1,000万円を超える相続金額には一定の控除額も設定されています。

法定相続人以外に遺贈した場合の税率

死亡者が生前「遺言書」にて、相続人を法定相続人以外にも設定していた場合、これを「遺贈」と呼びます。
遺贈の場合、相続税率は法定相続人が適用される税率に「2割」加算されることになります。
これには、家族である法定相続人が感じるであろう不公平感を解消させる目的もあります。

配偶者に対する税率は?

法定相続人の中において、最も優先順位が高いのが配偶者です。
配偶者はあらゆる状況でも相続人になれるだけでなく、相続税の税率においても優遇されています。

1億6千万円までは税率ゼロ

配偶者が相続を受ける場合、その相続財産に掛かる税率には、一定の範囲内にてゼロに設定されています。
具体的に言うと、相続財産が1億6千万円までは非課税になります。実際、これほど多くの財産を得られる配偶者は稀なので、ほとんどの配偶者は非課税で財産を相続することになります。

未成年と障害者に対する控除とは?

税率自体は通常のものを採用しながらも、特別に控除が受けられる対象者というのもいます。
ここでは、未成年者と障害者に関する相続税事情について説明したいと思います。

未成年に対する控除

未成年者の相続税は、通常税率を適用しながらも、生活の糧が少ないことと将来への準備期間という意味合いを兼ねて、一定額の控除が設定されています。
具体的に言うと、1年間に10万円の控除額が設定されており、何年で20歳になるかを考慮して控除額が算定されます。
例えば、16歳で相続人になった場合は満20歳までは4年あるので、10万円×4年=40万円が相続税額から控除されます。

障害者に対する控除

障害者が相続人である場合は、85歳までの税額控除が設定されています。
具体的な控除額は、未成年相続人と同じく1年間に10万円(特別障害者は20万円)です。
ただし、障害者の相続人は、現在の年齢から85歳までの年数差が乗数となりますので、未成年相続人より控除額は大きくなることが多いです。

遺言書の影響力と遺贈について

遺贈の影響力
このように相続税は、基本的に通常税率を適用しながらも、相続人の条件によって税額が大きく変わることがあります。
最後は、税額の判断基準に大きな影響を及ぼす「遺言書」による遺贈について説明します。

遺言書は不可抗力

相続において「遺言書」は法律規定よりも優先されるため、これにより各相続人がどれくらい財産を受け取れるのかが、大きく変わる可能性があります。
相続税は、相続する財産の金額によって適用される税率が変わりますので、遺言書の存在は各相続人の相続税率決定において、不可抗力だと言えます。

遺贈には基礎控除なし

ただし、遺言書で指定された法定相続人以外の相続人の場合は、遺贈となり通常の税率に2割が加算されるだけでなく、基礎控除がないことも覚えておきましょう。
遺言書の場合、特定財産の遺贈というケースも多いので、金額が大きくなるほど相続額の目減りも大きく感じられるでしょう。

相続税には、条件によって税率が変化したり、控除が設定されていたりします。正しく理解することで、いざとなったときにスムーズな対応ができることでしょう。