国内の相続ケースの多くを占める土地などの相続において、権利を明確にするためには相続登記をしておくと安心です。
しかし、登記を進めていくためには、様々な書類が提出が必要となってきます。
日本の法律規定では、相続登記をせずとも土地などの所有権移転は可能ですが、いざトラブルになり裁判にて権利を争うケースになると、その土地を登記していないと権利の主張ができなくなります。
ここでは、相続登記に必要な書類と準備方法を説明していきます。
相続する土地に関する書類(不動産登記事項証明書・固定資産評価証明書)
まずは土地などの相続財産そのものの情報に関する書類を説明しましょう。
人間にもその身分を示す書類があるように、土地などにもそれが誰の権利に属するのかを定めている書類があります。
不動産登記事項証明書
最初の重要な書類は、不動産登記事項証明書です。土地の中には所有者と登記上の所有者が一致しないケースもあります。
普段は特に影響を受けませんが、相続になると所有者と登記上の所有者名義が一致していないと手続きを進められない場合もあります。そのため、この書類を法務局から取得して、相続登記にて名義の一致を示さなければなりません。
固定資産評価証明書
相続する土地などを登記する段階になると、「登録免許税」と呼ばれる税金の納付が求められます。
しかし、国もこの税金がいくらなのかを計算しなければならないので、相続人に固定資産評価証明書の提供を求めることになります。一般的にこの書類は各エリアの役所の税務部署で入手できます。
被相続人に関する書類(戸籍謄本・住民票除票)
土地の相続登記に必要な情報として、所有者である被相続人に関する書類の準備は欠かすことができません。
相続の段階のおいて、被相続人は既に死亡している訳ですから、相続人もしくはその代理人がこの書類を準備することになります。
出生時までの記録が分かる戸籍謄本
被相続人に関する書類で少々面倒なのが、出生時までの記録が分かる戸籍謄本です。被相続人の中には、複雑な人生を歩んできた方もいますので、戸籍が現在住んでいる自治体にすべて存在しているとは限りません。
場合によってはいくつかの役所から取り寄せる必要もありますので、一定の時間を要することもあるでしょう。
住民票の除票
住民票の除票の取得は簡単で、被相続人が住民登録していた役所で進めることができます。
ただ、相続処理そのものが数年に渡る可能性がある場合は注意が必要です。一般的に住民票は5年以上たつと保存しなくなるので早めの取得が望まれるでしょう。
相続人に関する書類(住民票・印鑑証明書・遺産分割協議書)
そして、相続登記には当然相続人に関する書類も必要になってきます。相続人は複数存在することがほとんどなので、書類の準備の中で最も量が多くなります。
住民票と印鑑証明書
相続人の書類でまず求められるのが、住民票です。相続登記申請書類には相続人の住所を記載しなければなりませんので、住所証明としての住民票は必須となります。
同じく必須なのが、捺印が本当に本人によるものなのかという証明です。つまり、捺印使用の印鑑が実印であることが必要となるので、印鑑証明書の提出も欠かせません。
遺産分割協議書
相続登記には相続人がどんな遺産を分割して取得するのかの内訳も必要です。この場合には、遺産分割協議書が必要となります。
また、相続人の誰かが相続放棄をする場合には、相続放棄者の相続放棄申述受理証明書が必要になります。
特殊なケースで必要となる書類(委任状・除籍謄本)
ここまでは相続登記に必要最低限な書類を見てきましたが、場合によってはその他の書類を準備しなければならなくなります。
どのような書類が存在しているのか、代表的なものを2つ紹介します。
相続登記手続代行の際に求められる委任状
相続登記は相続人が自ら進めることができますが、多くの方は仕事や家庭事情で忙しく、なかなか時間を作ることができません。
そのため、専門家に手続き代行を依頼するケースは少なくありません。この場合は、手続き代行のための正式な委任状が必要となります。
家督相続で相続を進める場合に求められる除籍謄本
土地の相続で最も面倒なのが、昭和22年以前に名義変更が途切れているケースです。旧民法において家督相続で進められた経緯があると、相続する土地を当時の名義者から相続人(長男)に移さなければならないこともあります。
一般的には当時における家督相続の記録となる除籍謄本の提出を求められますが、現物が役所に残っていないこともあります。その場合は専門家へ相談するとよいでしょう。
このように、相続登記にはたくさんの書類が必要になります。手続きも複雑になりやすいので、初めから専門家に依頼するのもひとつの方法と言えるでしょう。