多くの方が難しく考えがちの「相続」。実際、相続税など金銭的負担が発生することもあって、一定の知識がなければ対処しにくいことも事実でしょう。
しかし、実は相続の流れ自体は極めて単純で、相続税の計算方法もそれほど難しいものではありません。

今回は、分かりやすい相続税の計算方法についてチェックしてみましょう。

相続税の計算方法の基本を解説!

まず、多くの方が気になる相続税の計算方法から解説していきましょう。
相続税の税率は現在、平成26年12月末までのものと平成27年1月1日以降に適用されるものに分かれています。
現在はより税率も増えているようですが、具体的にはどうなっているのでしょうか?

10%から55%の相続税率を掛け合わせて計算される

相続税は、相続する財産総額から一定の費用を引いた金額に対応する「相続税率」を掛け合わせることで算定されます。

金額が1億円以下までは10%から30%までの相続税率となりますが、1億円を超えると6億円以下までが50%まで跳ね上がり、6億円を超えると55%もの高い累進課税率となります。

債権と負債を合算して葬祭費用などを引いた金額を基礎に算定

上で言う財産総額とは、プラス財産とマイナス資産も合わせた額となり、被相続人が所有していた債務についても含めなければなりません。

また、先にも触れた一定の費用には被相続人が死亡して葬祭に掛かる費用も含まれます。
この分も一緒に合算することで、相続税算定の基礎となる財産額が算出されるでしょう。

相続税を少しでも安くする工夫はできる?

一定の税率による計算方法によると、金額によっては相続税が相当高額になることは明らかです。

やはり、少しでも税金は安く抑えたいものですが、相続税制度の中で安くできる工夫はないものでしょうか?
ここでは、特定の相続人に対して適用される制度を参考にしてみましょう。

法定相続人における相続税であれば税額控除を適用できる

通常、法定相続人の相続税に関しては、税額の基礎控除が認められています。
平成27年1月1日からは、「3,000万円+600万円×法定相続人数」という数式によって算定されています

仮に法定相続人が2人である場合は、4,200万円まで控除可能になり、同じ税率であっても税額を大きく抑えることが可能です。

相続税の計算方法~一般的な法定相続人による相続ケース

ここからは相続税の計算方法の中でも、一般的な法定相続人による相続のケースをチェックしてみましょう。

法定相続人は一般的に「死亡者から1親等の者」を指すことが多く、それぞれで法定相続分が異なるため、相続税額にも影響します。
ここでは、2つのタイプに分けて計算方法を解説します。

配偶者の死亡によるもう一方の配偶者の相続

最初に、死亡した人の配偶者の相続ケースです。純粋に相続財産の総額が3,000万円だった場合は、その半分である1,500万円が税額基礎になるでしょう。

しかし、配偶者の場合は最高1億6千万円を限度に、自分の法定相続分を超えない範囲で相続税は掛からない仕組みとなっています。
そのため、一般の相続ケースのほとんどで、配偶者には税金支払いが生じません。

親の死亡によるその子供の相続

相続財産の総額が3,000万円で2人の子供に相続が発生する場合は、1,500万円を2分の1にして各750万円が相続税課税基礎となります。

しかし、子供の相続ケースでは、一定の配偶者とは異なって税金ゼロにはなりません。このケースでは75万円が相続税として算定されるでしょう。
ただ、子供が未成年の場合は20歳までの残り年数に応じて年当たり10万円分の控除が可能です。

相続税の計算方法~遺言書による遺贈が存在するケース

相続税の計算方法
次に、遺言書による相続パターンをご紹介します。
この場合、被相続人の意思が大きく現れることになり、法定相続人への相続とはいかないケースも数多く存在します。

法定相続人ではない方が遺産を受け取る場合は、相続ではなく「遺贈」と呼ばれます。通常よりも相続税は多くなるでしょう。

血縁のない第三者へ「包括遺贈」によって相続する場合

遺贈の1つに「包括遺贈」と呼ばれるものがあります。これにより、遺言書の中に法定相続人と同じように、メンバーの1人として全体のどれくらいを相続するという記載がなされます。

しかし、遺贈される方は法定相続人ではありませんので、たとえ法定相続人と同じ取り分を得たとしても相続税が2割加算されることになります。
つまり、10%の相続税であれば、合計30%の税率になるでしょう。

血縁のない第三者へ「特定遺贈」によって相続する場合

また、特定の財産を指定して法定相続人以外に遺贈するケースがあります。こういった「特定遺贈」の場合、その特定の相続額だけに対して税率を掛け、相続税が算定されます。

第三者への遺贈の場合う、先に述べた包括遺贈のケースも含めて、代襲相続ができないことも大きな特徴です。

このように、相続税の計算方法は法定相続人であるかどうかによっても変わってきます。
事前に遺言の有無などについて確認しておき、あらかじめ算定しおけば安心ですね。