遺産相続の際は、法定相続人の方々で遺産を分割するようになっています。
「法定相続分」というものが法律で決められていますので、その相続分に沿った分配が行われます。
しかし、法定相続人の中には分割内容に納得いかない方もいて、相続人同士が喧嘩に発展してしまうケースが多数見られるのです。

そこで遺言書による財産分割と相続を行うこともできます。それが「割付遺言(わりつけいごん)」です。
この方法であれば、被相続人の明確な意思によって各相続人に分配する遺産を決定することができます。
そのため、相続人からすると不公平感が生まれにくく、遺産に関するトラブルを回避することに繋がります。
もともと法律で決まっている財産分与方法では公平ではなく、相続人同士の関係性によってトラブルが起きる可能性がある場合は、割付遺言が有効的です。

割付遺言の作成時は相続税の違いに注意!専門家に相談を

ポイント

各相続人の遺留分(法定相続人に確保される最低限の遺産)を侵害しない割付遺産になっている場合は、法律的にも問題なく公平な財産分与方法だと言えます。
しかし、全てが丸く収まるような遺産相続というのは、なかなか難しいものです。
「割付遺産だから全て安心」というわけではなく、そこには注意点も存在します。

それが、「相続する財産の種類によって各相続人にかかる相続税などの負担が変わってくる」点です。
出来るだけ相続税の負担を平等にするためには、綿密な割付遺言を考えておかなければいけません。

単に被相続人が自分で決めていくだけでは、きちんとした相続分割をすることは難しいでしょう。
残された相続人に公平な相続をしてもらうためには、専門の人に相談してから割付遺言を書く事が大切になります。
この点をしっかりと押さえてから割付遺言をすることで、よりトラブルが少ない財産の相続をすることができます。

割付遺言にはデメリットもある!3つのポイント

割付遺言を行うことで、被相続人が自由に相続人への財産配分を決めることができます。
そうすることで、相続人たちに財産を平等に分けることができ、相続人の方も気持ちを割り切ることができるのです。

こうして見ると割付遺言はメリットばかりのように思えますが、実際にはデメリットもあります。

財産の洗い出し漏れがあると結局トラブルに?

デメリットの1つが、遺言書の作成時にうっかり財産の洗い出しを忘れてしまっていた場合、不公平な割付遺言になってしまう可能性があることです。

いくら入念に相続財産の洗い出しを行っても、忘れていた財産などが出て来る可能性も考えられます。
その場合、相続人同士でその財産について話し合いを行なってから、誰がどれだけ相続するかを決めなければいけません。

価値が変化する財産は相続時に不公平になるかも

財産の種類によっては、割付遺言を書いた時の価値と実際に財産を相続するときの価値に違いが出てくることもあります。
日々評価額が変わる不動産などの財産には、注意する必要があります。
こういった場合にも相続時の不平等が出てくるかもしれません。

遺産相続に手数料がかかる場合は均等でなくなる可能性も

現金や不動産の遺産分割をする場合には、手続きに手数料等がかかることもあるでしょう。
そのため均等分割を行ったつもりでも、実質は不平等が起こる場合もあります。

こういった点は、割付遺言を書いた時には想像しにくいところでしょう。
割付遺言は、被相続人の明確な意思によって遺産相続ができる有効な相続方法です。
しかし、こういった細かいデメリットもありますので、専門家に相談の上、慎重に進めるようにしましょう。