いつの時代もトラブルの種になりやすい相続。法律によって認められた相続人のことを法定相続人といいます。法定相続人になれる人には範囲があり、また遺産を相続する際の優先順位も決まっていることはご存知ですか?

ここでは、一般的に遺産を相続することになる法定相続人の範囲と優先順位について、ご説明したいと思います。

相続では配偶者が最優先!第2位は子供

法定相続人の中でも特に優先順位が高いのは、被相続人から見て直近の1親等内の親族となります。

日本全国の相続ケースを見た場合でも、そのほとんどがここに含まれる方々によって相続されています。ここでは、優先順位第1位の配偶者、および第2位の子供について触れていきましょう。

配偶者の相続税はゼロ!

最初に優先順位第1位の配偶者ですが、被相続人の配偶者は相続額の半分を取得できることを見ても別格の存在として認識されています。

特にそのことが現れているのが、配偶者に対する相続税の優遇措置です。配偶者に対しては、相続する金額が1億6千万円までは非課税になります。日本での相続金額のケースを見れば、ほとんどの配偶者は事実上相続税ゼロとなっていると言えるでしょう。

子供が亡くなっている場合は孫が代襲相続する

次に、法定相続人の優先順位第2位である子供について見てみましょう。法定相続人としての子供の相続額ですが、まず配偶者に相続額の半分を分配した後、残りの半分を子供の数で頭割りした額になります。

また、子供が死亡していて孫が存在している場合は、孫が「代襲相続」をすることになり、第2位の優先順位を引き継ぐことになります。

相続における優先順位の第3位は両親

両親

しかし、近年では上述の優先順位に収まらないケースも増えています。ライフスタイルの多様化もあって、若い者が年配者よりも早く死亡するケースもあるでしょう。そういうときのために、優先順位第3位として被相続人から見て尊属である両親が設定されているのです。

もし両親が既に亡くなっており、祖父母が存命であれば、祖父母がこの優先順位を引き継ぐことになります。これは一見すると「代襲相続」の一部分と思われがちですが、実はそうではありません。あくまで法定相続人として優先順位が高い存在として設定されているに留まるものです。

相続における優先順の第4位は兄弟姉妹、第5位は甥姪

被相続人から見て尊属さえも存在していない場合は、今度は横つながりの親族へと相続優先順位が移っていきます。ここで登場するのが、優先順位第4位である被相続人の兄弟姉妹、そして優先順位第5位の甥と姪になります。

兄弟姉妹への相続はトラブルになりやすい

もし被相続人が未婚で子供もいなかった場合、兄弟姉妹にかなりの確率で相続の順番が回ってきます。

ただし、日本では現在、兄弟姉妹における相続のトラブルケースは増加傾向にあります。普段離れて暮らしていることが多いのもトラブルが発生しやすい原因と言えるでしょう。

甥や姪への再代襲相続は認められない

もし第4位の兄弟姉妹が亡くなっている場合などは、その子供つまり被相続人から見て甥と姪が第5位の相続優先順位になります。

この場合は「代襲相続」になりますが、被相続人の子供や孫などの直系卑属の「代襲相続」が下の世代への「再代襲」が認められるのに対し、兄弟姉妹の場合はその子供から下の世代への「再代襲」が認められていません。

法定相続人の優先順位は絶対ではない!

さて、ここまでは法定相続人の範囲と優先順位に関して説明してきましたが、実際の相続手続きにおいて、この相続優先順位が確実に保証されている訳ではありません。

相続資格の欠格や廃除があれば優先順位は変わる

法定相続人の優先順位は何も問題がなければ遂行されるべきものですが、相続資格者の中には素行に問題があって、相続者として欠格と判断される者もいます。

被相続人から相続にはふさわしくないと判断されるケースもあり、裁判所を介して相続資格者から廃除されることもあります。この場合、優先順位は変わります。

法定相続人よりも遺言書の内容が優先される

法定相続人は法律で定められている便宜上の相続人ですので、遺言書が別途存在していれば遺言書による相続人設定が優先されます。

この場合、遺産を相続するのが法定相続人だけとは限りません。第三者への相続いわゆる「遺贈」がなされる場合もあります。この場合、相続の優先順位は大きく変わることになります。

このように、遺産相続には相続できる人の範囲や優先順が決められています。ただし、必ずしもその通りに相続されるわけではないことも覚えておきましょう。