「相続なんてまだ先の話」と感じている方は多いものです。しかし、いざ相続の問題が生じると、上手く対処できないのも事実です。
そして、そうなってから相続税対策をしようとしても、既に手遅れである場合が多いのです。

「少しでも相続税を安くしたい」と思うのであれば、生前から対策を実践しておきましょう。今回は参考になりそうな相続税対策を3つご紹介します。

相続税対策その1~少額資金を利用した節税

最初に解説する節税対策は、贈与税の控除を利用した少額での相続税節税の手法です。贈与税には贈与する1人当たり110万円の年間控除額があります。

つまり、将来的に相続する予定の人に年間110万円ずつ生前贈与し、将来的な相続税の発生を抑え、同時に贈与税免税が達成できるのです。現在いくら資金があるかで計画的に進めなければなりません。

これは相続額が少なめの被相続人向けになりますが、ほとんどの方は少額ケースになると思いますので、対策としては現実的なものであると言えます。
節税方法としても取り組みやすいと思うので、ぜひ参考にしてみてください。

また、生前贈与による相続税節税のもう1つの手法は、孫が30歳までに使用する教育関連の資金として、被相続人が生きているうちに孫の口座に財産を移す方法です。
基本的に、1,500万円までの贈与は非課税なので、一定のまとまった資金のある方にとっては有利でしょう。

相続税対策その2~不動産による節税

次に、不動産を組み合わせた相続税の節税について見ていきますが、ここで言う不動産は「住宅」であることが基本です。オフィス用の物件などは該当しないので注意が必要です。

子供への贈与のうち、将来的な住宅購入のための資金である場合は、最高2,000万円まで贈与税非課税になります。
2,000万円を相続すると必ず相続税が掛かりますが、これを住宅資金として生前贈与することで非課税にできるという訳です。

また、住宅資金としてではなく、直接住宅を建築するということでも節税になります。
特に賃貸住宅の建築は有効で、所有する土地に建築すると全体的に不動産の評価が30%ほど低下するので、相続の際に大きな節税効果を生むでしょう。

相続税対策その3~相続人タイプによる節税

家族
そして、3つ目の相続税の節税対策ですが、相続人タイプによる節税となります。法律で定められている制度ですので、知っておくとよいでしょう。

相続において、配偶者はもっとも優遇されるタイプです。相続税に関しても、相続額が1億6千万円までは非課税になるのです。
これほどの金額を相続される人は稀なので、基本的に配偶者には相続税はかからないと考えてよいでしょう。

また、未成年や障害者のお子さんがいるご家庭にも、相続税を減らす制度があります。
未成年への相続は20歳になるまでの年数に10万円を乗じた額が、相続税の控除額となります。障害者への相続では、84歳までの年数に10万円(特別障害者は20万円)を乗じた額が控除額となります。

相続を専門に扱っている専門家に相談しよう

ここまでは、相続税の節税対策を大まかに3つ述べてきましたが、節税を実現するためにはスムーズな手続きをできるようにしておく必要があります。
ただ、相続の内容は多岐にわたり、個人ですべてを把握するのは難しいものです。

そこで相続税の節税対策は、税理士などの専門家に依頼するのが安心だと言えます。ただし、どんな税理士でもよいという訳ではありません。相続問題を専門に扱っている税理士選びが最低条件となるでしょう。

相続税の対策はどのような事例を参考にするにしても、被相続人が生前から対策を考えておくのが何よりです。相続で大切な家族が揉めることのないように、事前に家族で話し合っておくことはとても大切だと言えるでしょう。