家族が他界して遺産相続をする場合、

  • どこにどんな不動産を所有しているか
  • いくら貯蓄があるのか
  • 借金はあるのか

といったことを確認しなければなりません。こちらでは、被相続人の預金口座や不動産を調査する方法について、詳しく解説します。

被相続人の預金口座を調査する方法

被相続人の預貯金を知るには、まず、遺言書やエンディングノートに情報が書かれていないかをチェックします。

その後、次の6つの方法を実行しましょう。

  • 生前に取引があった銀行へ問い合わせる
  • 遺品整理の際、通帳やキャッシュカードが見つかったらその銀行へ問い合わせる
  • 銀行名が入った粗品が見つかったら、その銀行に問い合わせる
  • 近所や職場付近の金融機関に出向いて調査してもらう
  • 保険証書や郵便書類等から引き落とし口座を調べ、金融機関に問い合わせる
  • 税務申告をしていた税理士に手掛かりがないか確認する

被相続人の不動産を7つの資料から特定する

書類

被相続人が所有している不動産は、被相続人の自宅にこちらの3種の書類が保管してあれば確認できます。

  • 登記済権利書
  • 登記識別情報
  • 固定資産税納税通知書

また、こちらに加えて以下の4種の書類を役所から取得することでも調査可能です。

  • 登記簿謄本
  • 不動産登記簿
  • 名寄帳(なよせちょう)
  • 固定資産評価証明書

上記、合計7種の資料から調査しましょう。以下で詳しく解説します。

自宅に保管してある3つの資料から調査!

登記済権利書

「登記済権利書」とは、不動産を所有した際に司法書士から発行される書類のことです。法務局名や受付番号、登記が登録された日付が記載されており、赤色の長い判子が押されています。
2004年に不動産登記法が改正され、現在は登記識別情報(本人確認に必要な暗証番号のようなもの)に変わりました。

しかし、2004年以前に取得した不動産の場合は、必ずこの登記済権利書が所有者に渡されていますので探してみましょう。

登記識別情報

先ほども出てきた「登記識別情報」とは、12桁の英数字からなる権利書番号が記された書類のことです。

この番号によって登記を申請した本人だと確認ができるので、登記識別情報が不動産所得者の証となります。2004年以降に取得した不動産の場合は、こちらの書類が発行されていますので探してみましょう。

固定資産税納税通知書

固定資産税納税通知書とは、土地や家屋、船舶などの償却資産を所有している場合に、固定資産の評価額に課せられる税金額を通知する書類です。
この書類は毎年4月に発行されるため、固定資産税納税通知書が郵送されている場合は不動産を所有している可能性があります。詳しく調べてみましょう。

役所から4つの書類を取得して調査!

役所

登記簿謄本(登記事項証明書)

「登記簿謄本」は登記簿をコピーしたもののことです。現在はコンピューター化され「登記事項証明書」と呼ばれています。
コンピューター化により、オンラインで登記事項証明書を発行してもらえるようになりました。不動産所有地の法務局に訪れる必要はないため、便利です。

不動産登記簿

「不動産登記簿」は、法務局に出向けば誰でも閲覧できます。そのため、不動産の所在が分かる場合にのみ、有効な手段です。
不動産登記簿に記されている所有者を確認し、被相続人がその不動産を所有しているかを調べましょう。

名寄帳

「名寄帳」は各人が所有している不動産を市町村ごとにまとめた台帳のことです。「固定資産税課税台帳」とも呼ばれます。
ただし、市町村が限定された情報になるため、被相続人の不動産が全国にある場合は特定が難しいかもしれません。そのため、不動産の市町村が特定できている場合にのみ有効な手段だと言えます。

また名寄帳を閲覧するには、

  • 身分証明(相続人や申出人の証明ができる免許証など)
  • 除籍謄本か戸籍謄本(被相続人の死亡が記載されたもの)
  • 相続戸籍謄本(相続人や申出者と被相続人の関係が記載されたもの)

が必要です。

プライバシーに関わる重要な内容のため、相続人にしか閲覧できない仕組みになっています。

固定資産評価証明書

「固定資産評価証明書」は、土地や建物などの固定資産に対し、市長が評価した価格が記載されたものです。被相続人に「固定資産税納税通知書」が送付されている場合、各市区町村において固定資産評価証明書を取得できます。

ただし、

  • 寄付した財産
  • 宗教を目的とする事業の財産
  • 一定の要件を満たしている個人経営の幼稚園事業による財産

などは非課税のため、固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書からは情報が得られませんので注意してください。

専門家の助けを借りて相続財産を調査しよう

家族が亡くなり悲しみが深い時期に、遺産相続に関することで動きまわるのは体力的にも精神的にも大変なことです。そんな場合は専門家の助けを借りることも視野にいれておきましょう。

相続調査に関する書類集めなら行政書士に依頼!

相続財産の調査に必要な書類をそろえてもらいたい、アドバイスを聞きたいという場合は「行政書士」に依頼しましょう。
相続財産の揉め事や裁判に関する内容ならば、弁護士に依頼しなければなりません。ただし遺産相続の調査のみであれば、弁護士や司法書士に依頼するよりも行政書士に依頼するほうが費用を抑えられます。

相続財産の調査の際に必要となる書類集めや、遺産分割協議書の作成などもしてもらえるため、ご自分で動き回れない方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

遺産相続の対象となる預貯金や不動産は、そう簡単に探し当てられないことも少なくありません。
相続財産の調査方法で迷った場合は、専門家の助けも借りながらスムーズに問題を解決しましょう。