法人税の減税などが注目されている中で、所得税や相続税の最高税率も増税されています。
では、相続税と贈与税がどのように違うのかご存知でしょうか。

相続や贈与をする、受ける、どちらの立場にとっても重要な問題ですのでチェックしておきましょう。

相続税と贈与税の違い

相続税は、被相続人が亡くなった後に相続人が財産を受け取る時に納める課税です
それに対して贈与税は贈与者の生前に受贈者が財産を受け取る時に課税されます。

同じ財産であるにもかかわらず亡くなってから受け取るのか、生前に受け取るのかによって税金の種類が異なるのです。

この二つの違いを理解することで税金を少なくして、家族の財産はどの程度残せるのかということに大きく繋がります。

相続税と基礎控除

まず基礎控除の計算方法ですが3,000万円+(600万円×法定相続人の数)によって算出されます。
相続する財産が4800万円を超える場合には相続税の対象になります。
例えば地価の高い場所に戸建ての土地を保有しているといった場合には、4800万円を超えてしまうことがほとんどです。

相続税はよほどの富裕層でない限り無関係であると思われるかもしれませんが、実は意外と身近に発生するものです。

そこで生前に財産を贈与することで、相続するべき財産の総額を減らして、支払う税金の負担を軽減するという方法をとることが多いです。
財産の贈与を無計画に行ってしまうと高額な税金を支払わなければならない場合もありますので注意しましょう。

贈与税と基礎控除

そもそも贈与税は、財産を贈与された人が受け取った財産の金額に応じた税金を支払うものです。
この税金を支払う際には、相続税と同様に基礎控除額が定められています。
基準となるのは年額110万円になります。
年額110万円であれば税金はかかりません。

基礎控除額110万円を超えてしまった場合、200万円以下であれば10%、300万円以上であれば15%というように段階的に課税されることになり、最高で55%まで課税されます。
税金は高額な資産を持っている人が多く支払うシステムです。このシステムから逃れてしまうと、場合によっては脱税となることも考えられます。

日本で脱税は重罪ですので、税金のシステムをしっかりと理解して守りましょう。

相続財産の受け渡しと対策方法

相続財産

相続税や贈与税の基本的な部分を理解することによって、どちらの方法が税金を抑えることができるのか、家族に少しでも多くの資産を残すことができるのかが見えてきます。
計画的に生前贈与を行うことによって、支払う税金を減らすことができる場合が多いです。

そこで少しでも財産を多く残せるように、努力をしてみましょう。

贈与の証拠をしっかりと残しておく

現金贈与を行う人も多いですが、マネーロンダリングと見られてしまう可能性が高いです。
贈与分をごまかすのではなく堂々と贈与するのであれば、銀行を利用して親の口座から子の口座にしっかりと送金をしなければなりません。
そして贈与の証拠を残すことが重要です。

通帳を使用することで、いつ誰にどれくらいの送金をしたのかが瞬時に印字されます。
振込だと手数料がもったいないと思われるかもしれませんが、贈与の証拠を残す意味では大変有効的な方法です。

子自身に口座の管理を

贈与先の子名義の口座を親が管理していることは、実は問題です。
さらに、親と同じ印鑑を子が取引に使用している場合には、子本人が通帳の管理をしていても親の名義借りと思われても仕方がありません。

実際に親が贈与したものの、お金が必要になったら自分で使おうと思っていることもあるでしょう。
このような場合には、本当の意味で贈与があったということにはなりません。

未成年の時に作った場合には大学に入学する際や成人式などをきっかけにして、自分で子の通帳や印鑑を管理させるようにしましょう。
自由にさせると使い込んでしまうかもしれない、と心配なのであれば、海外不動産投資などで資産運用をしておくと、子も自由には解約することができません。

生前贈与の方法の一つとして、親が子の口座に年金などのお金を振り込んでいることもあります。
贈与するものがない、贈与するものはあるがお金に余裕がある、などの場合には年金をそのまま振り込むことも少なくないようです。

しかしその子の預金となるはずの年金が、親の預金であるとみなされてしまい相続税が課せられてしまう例が実はとても多いです。

前述したように、こういった場合には子に通帳や届出印などを管理させずに、自分で保管していることが原因で、名義預金となってしまいます。
名義預金は親が亡くなった時には親の相続財産に含まれ、課税対象になりますので注意してください。

また子ではなく、孫に贈与を直接行うこともあるでしょう。
この場合、贈与税が発生しないこともありますが条件もあります。
直系血族、もしくは兄弟姉妹を扶養する義務がある場合と条件が定められているのです。

贈与税がかからないケースも

孫の養育費を祖父や祖母が支払うということは、扶養義務を果たしていることになります。
夫婦や親子などの扶養義務者から生活費のために取得した財産で、必要であると認められるものは贈与税がかからないと明言されています。

ただし、この場合の生活費は通常の日常生活において必要な費用です。
つまり車や家などの購入にかかる費用は該当しません。
そして教育費は学費や教材費を指しますが、生活費や教育費などの名目によって贈与を受けた場合です。

預金や不動産の売買に充てるのであれば、贈与税が必要になってきます。

子が贈与されたことをしっかり自覚する

子どもに贈与

場合によっては、子が親から贈与されていたことすら知らない場合があります。
贈与は契約の一種ですので、お互いに渡した、受け取ったということを理解し合うことが必要です。

子にも受け取ったという事実を認識させる必要があります。
仮に子に何も言わずにお金だけあげていたとしても、必ず贈与をしているということを理解しておく必要があります。

連年贈与には注意が必要

毎年同じ金額を同じ時期などに贈与している場合には、連年贈与、若しくは定期金贈与に分類されてしまうことがあります。

例えば親と子の間でこれから5年間毎年100万円ずつ渡すことを決めていた場合には定期金として贈与を行ったことになってしまい、多額の贈与税がかかってしまうこともあります。
相続税と贈与税は、そのシステムの違いを理解することによって税金を抑え、より多くの資産を残すことができます。

しかしそのためにはシステム自体を理解する他、法律に触れない、税金を多く取られないようにするための注意点があります。

仕組みと注意点を理解して、是非少しでも多くの財産を残してくださいね。