相続に関する税法は難しいため、どうしても素人には理解できない部分があります。そういった難しい部分をできるだけわかりやすく理解できるように解説しています。ここでは相続税に関する制度を見てみましょう。

相続税で押さえておくべき税の仕組みと節税方法

相続税を支払うときに困らないように、税の仕組みや必要性などを知っておかなければいけません。その上で節税対策をすることができます。生命保険と不動産による節税対策を分かりやすく説明しています。

相続税は低所得者への分配が目的

相続税は、一部の高所得者(いわゆるお金持ち)に対し、財産を所有し続けることを規制して、低所得者へ分配をする為にできたのが始まりです。

たくさん財産を所有している人が亡くなった時に、税金として徴収して、そのお金を生活に困っている人に回すように作られていて、「高所得者から低所得者へ分配する」という意味合いがあります。

相続税は国に支払う

国は、相続時にお金をたくさん持っている人から税金を徴収します。そして国の財政を賄い、低所得者などお金に困っている人のために使っていきます。
お金を持っている人の財産の税率を上げてから、国や地方でより多くの税金を徴収して分配をするのですが、ここでいう国へ支払わなければいけない相続税は「国税」と言われる部分です。

相続税は別名「贅沢税」とも言われていて、降って沸いたようなお金という意味合いが強く、たくさんお金を得た人からは、たくさん税金を徴収するようになっています。

相続に関わる相続税について

相続税にはいくつか税金がかからない「非課税部分」があり、決まった金額を超えるまで、税金を払わなくて良い仕組みになっています。

平成26年12月31日までは、相続時に5000万円までは非課税となり、その金額以内の相続に関しては無税でした。
さらに相続人1人当たり1000万円までは非課税となっていて、4人家族の場合、最大8000万円までは非課税対象でした。

しかし、平成27年1月1日から制度が改正され、非課税部分は1人当たり600万円で、4人家族の非課税対象額は4800万円までに減額されています。
これにより課税対象者が増え、中所得者の人でも課税対象になるケースが増えてきました。

これまで相続税のかからなかった家庭でも、考えないといけなくなったという家庭が増えてきています。
「高額所得者から税金を徴収する」という考え方から、「中所得者からも徴収しよう」という考え方に変わってきています。

相続時に関係する贈与税について

このように相続税の控除額が減ってきましたので、「生前に贈与できるものは贈与する」という考え方が増えてきました。

例えば「贈与税」は、親から子供へ、祖父母から孫へ、資産をあげた場合にかかる税金ですが、身内にお金を譲るのにも税金がかかります。
「生前にできるだけ子供や孫に対してお金を譲りなさい」という、国の考えがこのような形へと遷移してきており、生前に子供や孫に対して、教育資金や住宅費用としてお金を譲る、という税金の「非課税枠」が増えてきています。

国は、先に自分の子供や孫にお金を譲ることで非課税枠を作るような仕組みを整えようとしています。
一見支払う税金が軽減されているようですが、他の形で税金を徴収しようとしています。
そこで、いくつか相続時に財産を残しておく方法がありますので、見ていきましょう。

 

生命保険は非課税対象になる枠がある

生命保険
相続時の税金を少しでも払わずに済ませる為、生前に生命保険に入るという方法があります。
生命保険に入っていると、支払われる生命保険金額の大部分が控除額として認められます。

生命保険金が2000万円とすると、そのうちの1500万円分は控除されて税金がかかりません。
これは、通常の相続時の非課税枠とは別物で、贈与者が生命保険に入っている場合、4人家族であれば4800万円が非課税になり、それにプラスして生命保険金の非課税金額の1500万円がプラスされます。最終的に4800万円+1500万円=6300万円が非課税になります。

相続額が6000万円で、生命保険に入っていない場合は、1200万円に対して相続税が20%で、240万円を払わなければいけませんが、生命保険に入っていれば、相続税は0円です。

相続時の不動産について

節税対策としてもう一つ有効なのが不動産所有で、不動産を生前所有していると、相続人の節税にもなりますし、被相続人が亡くなったあとも収入を貰い続けることができます。

相続人と被相続人が同居している場合は、住宅の80%が控除され、支払う相続税は20%分です。不動産の評価額が2000万円の場合、実際には相続する金額は400万円ですので、相当な節税になります。

 

このような仕組みがあることを知り、節税できるところはしていきたいですね。