相続税が安くなる控除があります。
この相続税が安くなる7つの控除についてご紹介します。

  1. 配偶者控除
  2. 障害者控除
  3. 未成年者控除
  4. 贈与税額控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税額控除
  7. 相続時精算課税

1. 夫婦であれば婚姻期間は問わない「配偶者控除」

配偶者は相続を受けたとしても、税金はかかりません。

これは配偶者控除のおかげで、支払う税金の額が抑えられているのです。
夫婦とはともに生活をしており、被相続人が財産を作り上げる上でとても重要な存在です。
さらに、配偶者の老後を保証する、という必要もあります。

短期間で相続が2度発生し、相続税を2回支払わなければならない、ということが起こりうるので、こういったことからも配偶者控除があるのです。
配偶者控除は、婚姻期間は特に関係ありません。
婚姻届を出していれば適用されるので、仮に1日だったとしても、婚姻関係にあったのであれば、控除を受けるということは可能なのです。

ただし、隠蔽されていたような財産については、特例対象外になりますので注意してください。
また、配偶者控除を受けるためには配偶者の相続分を決定したうえで、申告期限までに申告書の提出をしなければなりません。
相続分が決まらない場合にも、控除が受けられるようになる救済措置が準備されています。

2. 障害の重さによって減額度が変わる「障害者控除」

2つ目は障害者控除です。

もしも相続人が障害者である場合には、また別の控除を受けることができます。
70歳未満で障害者なのであれば、障害者控除が受けられます。
そして一定金額を控除してもらうことができるのです。

障害者控除の必要性についてですが、相続を受けた人が障害者の場合、その財産に対して親族などが集まってきます。
ただ相続税の場合は、障害者を非常に手厚く保護しているのが実情です。

障害者が法定相続人になった場合には、未成年に対して行われるのと同じように相続税を安くするという取り決めがあります。
障害者控除は、障害を持つ人が70歳になるまでは毎年一定金額が控除されていきます。
どのくらいの金額が減額されるのかというのは、障害の重さによって少しずつ違いが出てきます。

一般障害者の場合には、障害者控除の金額は障害者が70歳になるまで1年に月6万円で計算をします。
特別障害者の場合には障害者控除の金額は、障害者が70歳になるまで毎年12万円で計算をしています。

障害者にも様々な方がいますが、障害者の方は多くの収入を得ることができません。
そのため、生活費は相続した財産に頼るしかない場合が多いのです。
そういったことから障害者控除が準備されているわけです。

3. 収入が無い未成年のための「未成年者控除」

未成年者控除
未成年者控除は、相続人が未成年者の場合に該当します。
未成年者の場合には、未成年者控除を受けることができ、相続税の金額から一定額を差し引くことができるようになっています。

例えば、資産家が亡くなったとき、相続人が未成年の場合には、相続財産を目的にした人たちに狙われることもあります。
しかし相続税においては未成年者を保護することを目的として、税金を安くするという特例があるのです。

未成年者控除は、法定相続人が20歳未満であれば、1年で6万円が控除されることになっています。
未成年者の大半は収入がないと思いますので、成人するまでは相続財産に頼らなければなりません。
そのため、このような控除が準備されているのです。

また、未成年者控除の金額が未成年者の相続税額よりも高額で、控除額全額を差し引きできないということもあります。
そのような場合には、差し引きできない金額分を相続税額から差し引くことになります。
扶養義務者が2人以上になる場合には、協議するなどして決定することになります。

未成年者が以前に未成年控除を受けているのであれば、控除額はある程度制限されることがあります。
未成年控除が受けられる人は、相続を受けた時に日本国内に住所を持っている人、もしくは日本国内に住所がない人であっても日本国籍を持っているか、相続開始前5年以内に日本に住所を持っていたことのある人です。

4. 重複して支払わずに済む「贈与税額控除」

贈与税額控除は、贈与税と相続税との両方を支払わなければならなくなった時に、全てを支払わなくても良い、というものです。

相続を受けた人が、相続開始よりも前の3年以内の間で、被相続人から贈与されている財産というのは相続税の対象になります。
しかし、財産の贈与があった場合に贈与税の支払いをしているのであれば、その財産は贈与税、相続税の両方を支払わなければならなくなります。

そのため、重複して支払わずに済むように相続税から引かれるのです。
当然、贈与額が基礎控除額よりも少ない場合や贈与税の支払いをしていなかった場合には控除を受けること自体ができません。

5. 連続で相続する負担を軽減させる「相次相続控除」

父親を亡くした数年後に、すぐに母親亡くしてしまったとします。
このような状態を相次相続といいます。
短い期間でありながら相続が立て続けに発生した場合、相続を受ける人は非常に大変なことになっています。

すでに相続税を支払っているにもかかわらず、また同じ財産に対して相続税がかかってきてしまうからです。
これでは納税の負担が非常に大きくなってしまいます。
まとめ一定金額を相続税から差し引くことで、相続税の負担を軽くするというのがこの制度になります。

この短い期間は、10年以内に続けて相続がある場合になります。
10年以内に立て続けに相続があった場合には、2回目の相続において、支払った相続税の一部分を減額することができます。
最初の相続を第1次相続、2回目の相続のことを第2次相続と呼びます。

相次相続控除によって、マイナスすることができる金額というのは、相続を受ける人が抱える負担を軽減するためです。
第1次相続と第2次相続が近いタイミングで起きれば、相続税の金額が大幅に減額されます。
しかし第1次相続と第2次相続との間隔が開けば、それに比例して差し引かれる金額は減っていきます。

6. 海外で財産を持っていた場合の「外国税額控除」

外国税額控除
外国税額控除は、外国と日本の両方で相続税を支払う必要はないという制度になります。
海外で財産を持っていた場合に海外において、日本の相続税にあたる税金の支払いをすることもあるのですが、家の場合には外国で支払い日本でもまた支払うとなると二重で支払いをしなければならなくなります。

日本と外国の両方で税金を支払うと非常に負担が大きくなるので、日本と外国の両方で相続税を支払わなくても良いという制度がこの外国税額控除なのです。

7. 早いうちに財産を移行できる「相続時精算課税」

この相続時精算課税というのは、親から子供の世代が相続をスムーズにするということを目的にした制度になります。
例えば親が80歳で亡くなった場合、子供が財産を取得したとしても子供もまたある程度の年齢になっています。

そのためできるだけ早いうちに財産を子供に移行させたい、という目的から作られたのが相続時精算課税制度なのです。
生前贈与した場合、2500万円までの贈与であれば贈与税がかかりません。
生前贈与された財産に関しては、相続税はかかりますが、贈与税よりも安いので節税になるのです。

いつ起こるかわからない相続。
相続税を安くすることができるのに、知らないまま払い続けてしまうということもあるかもしれません。

そうならないように、この7つの控除制度をしっかり把握しておきましょう。控除制度を利用するのとしないのでは全然違います。是非、この記事を参考にしてみてください。