相続には、被相続人とどのような関係なのか、また被相続人からの相続権を持っているのかということを証明しなければいけません。

その証明には、戸籍抄本または戸籍謄本を取得して提示する必要があります。

戸籍抄本とは、戸籍上の「筆頭者」と自分自身の関係が記されている公的な証明書のことです。戸籍謄本は抄本の情報に加えて、全ての血族関係を持つ対象者が記されています。

「筆頭者」という言葉が出てきましたが、相続においてこの筆頭者は非常に重要な位置付けとなっています。

ここからは相続における筆頭者について詳しく見ていきましょう。

筆頭者は戸籍の最初に氏名が記載されている人

役所などで取得する戸籍証明書に、最初に氏名が記載されている人が筆頭者です。

本人が未婚の状態であれば両親のどちらか一方が筆頭者として記されています。

未婚時は親の登記簿に属していますが、結婚することで筆頭者が変わります。

姓の変わらなかった方を筆頭者として、新しく二人の戸籍が作成されるのです。

世帯主と筆頭者は違う

筆頭者と、住民票に記載されている世帯主は同じものだと思われていることがありますが、両者は全く異なるものです。

世帯主は一緒に生活している世帯の代表者を差しており、これは年長者に限ったものではありません。

世帯主は、世帯構成が変化することでその都度変わる可能性もありますが、筆頭者は婚姻によってのみ変わります。

この両者の違いについてハッキリと理解しておきましょう。

相続には被相続人の筆頭者名が必要

被相続人からの相続手続きをするためには、被相続人の本籍地及び筆頭者を交付申請書に記載しなければいけません。

この交付申請書は、役所に提出する非常に重要な書類のため、間違いが見つかると相続手続きでのトラブルの原因となります。

トラブルを避けるためにも、まず最初に被相続人の筆頭者は誰なのかを確実に知っておくことが大切です。

そのためには被相続人の戸籍請求が必要になります。

被相続人の戸籍請求には相続人の謄本などが必要

請求
被相続人の戸籍を請求するためには、「申請書」「相続人の戸籍謄本」「定額小為替」「返信用封筒」などが必要です。

申請書は、各役所のホームページからダウンロードすることが出来ますし、役所まで出向いて専用の用紙を受け取ることも出来ます。

全部事項証明書とも呼ばれる戸籍謄本は、相続人と被相続人の関係を証明する大切な書類です。

もし郵送で請求する場合は、コピーを同封する必要がありますのでご注意ください。

また定額小為替や返信用封筒は郵便局で簡単に購入することが出来ます。

出生時の戸籍までさかのぼる

全ての手続きを完了させることにより、被相続人の戸籍を取り寄せることができます。戸籍が届いたら、その戸籍が被相続人の何歳から何歳までの情報を記載しているものなのかをチェックしてください。

生まれてから亡くなるまで本籍地が変わっていない場合は、一回の申請で被相続人の全ての戸籍を揃えることが出来ます。しかし結婚や離婚などを契機に別の役所へ転籍していると、再度転籍する前の役所へ戸籍の請求をしなければいけません。

最も古い戸籍を取得しましたら、そこに記載されている本籍と筆頭者名を確認し、最後に転籍前の本籍が置かれていた役所へ交付申請を行います。

このように、相続をする際は被相続人の筆頭者を確認するため、出生時の戸籍までたどり着かなければいけません。

大変な作業かもしれませんが、これは相続するにあたり必要不可欠なことなのです。