近年「終活」というものに注目が集まってきている中、遺影もより重要なものとして扱われています。

現存する家族写真のいずれも写りが悪く、横を向いていたりピンボケしたものが多い場合や、葬式に対して強いこだわりがある方は、遺影用の写真を改めて撮影した方がよいでしょう。

いつごろ撮影すべきか?

一人で歩けるぐらい元気な状態

まず最初の疑問として「いつごろ撮影すべきなのか」ということが挙げられます。これに関しては、なるべく元気なときに撮影するとよいでしょう。

目安としては、ひとりで写真館や葬儀会社に行くことができるうちに行いましょう。葬式の写真ゆえ、気が進まないということもあるかもしれませんが、いつ病気やケガで立てなくなるとも限りません。行けるときに行っておくべきです。

もし病気で動けないときには

しかし、現状すでに何らかの原因で動けなくなっている場合は、出張サービスを利用するとよいでしょう。一部の写真館は、依頼を受けた方々の自宅に直接訪問し、撮影を行ってくれます。

しかしこのサービスは出張が伴う分、それなりの金額が余分にかかってしまいます。また、状況によっては訪問できる場所に制限があったり、なにより健康的な印象を与える写真を撮るのは難しいかもしれません。

できるだけお金をかけず、品質のよい遺影を作ろうと考えているのであれば、健康でしっかり動けるうちに制作に取りかかるようにしてください。

写真館に依頼する方法

遺影

写真館で撮影するメリット

遺影制作においてもっともポピュラーな方法と言えば、写真館に直接赴いて撮影を行うといったものです。

この方法で得られるメリットは、プロの写真家によるきわめて高品質な撮影が期待できるということです。正直申しまして、プロと素人では写真のクオリティーの差が圧倒的に違います。その点だけでも、写真館に依頼する価値は十分にあります。

用意するもの

写真館で撮影をする場合、特に用意するものはありませんが、身だしなみはきちんと整えて行きましょう。服装はもちろん、女性の方は適度なメイクも重要になります。

写真館によっては専属のメイクアップアーティストやスタイリストがいる場合もありますが、たとえば商店街の小さな店ではそこまで期待できません。なるべく自分で準備するようにしましょう。

服装およびメイクに決まり事はありませんが、常識の範囲に留めるのが望ましいと言えます。かしこまった服でなくとも結構ですが、あまりに度が過ぎると、撮影を拒否される可能性もあります。

費用はいくらぐらいか?

写真館で遺影を撮影してもらう場合の料金については、店によって様々です。たとえば、スタイリストやメイクアップアーティストをしっかり準備して、しかもデータをCDに焼いてくれるような店舗は、2万円から4万円以上かかることもあります。逆に撮影のみであれば、5,000~7,000円程度での撮影も可能です。

写真館を選ぶコツ

腕の良い写真館を選ぶにあたっては、もっとも注目すべきは、その店のショーウインドウです。直接店舗へ出向いてみれば分かりますが、大抵の写真館は、入り口横のショーウインドウにサンプルの写真を飾っています。それを見れば、その店の写真家の腕前もおのずと分かるでしょう。

また、写真館がホームページを持っている場合は、必ず閲覧しておきましょう。ホームページに掲載された写真は、その写真館にとっての自信作ですので、選ぶ上での良い基準となるでしょう。

もし店舗にもホームページにも一枚も写真を飾っていないようなら、その店に遺影を依頼するのはおすすめできません。腕前も分からない人に、自分の最後の一枚を頼めませんからね。

葬儀会社に依頼する方法

棺

写真館と比べた場合のメリット

葬儀会社に遺影を撮影してもらう方法もあります。とはいっても、葬儀を担当するスタッフが撮影を行うのではなく、あらかじめ葬儀会社と契約していた写真家が赴き、遺影を撮るというものです。
専属のメイクアップアーティストやスタイリストなどもしっかり用意してくれるので、小さな写真館よりもよい写真が撮れることもあります。

また、大手の葬儀会社では「終活撮影会」と称したキャンペーンなどを行っており、写真館に頼むよりもずっと安く、たとえばメイク付きで1万円を切るぐらいの値段で質の高い遺影を制作することもできます。

腕前は信頼できるのか?

葬儀会社に依頼すると、事前に写真家の腕前を確認することができません。ほとんどの場合、葬儀会社も腕前が信頼できる写真家を連れてくるはずですが、ごく稀に「これでよく写真家を名乗れるな」という人も中にはいるようです。

もしどうしても不安であれば、葬儀会社のスタッフに頼んでその写真家の作品を見せてもらうようにしましょう。

自分で遺影を撮影する方法

最近注目を集めているのが、自分で遺影を撮影する方法です。一見難しいように思えますが、レンズ代含め5~6万円の一眼レフカメラに三脚があれば、それだけで遺影を撮影することはできます。

写真が趣味だという方にしてみれば、人に任せるよりも自分で撮影した方が良いと思うのは不自然ではありません。また、同好の士がいるのであれば、協力を仰ぐのもいいかもしれません。

メリットはかなり大きい

自身で遺影を制作する一番のメリットは、「自由に作れる」ということです。遺影といえば「白黒に無表情な顔のアップ、背景はなにもなし」というイメージが強いですが、そのように法律で定められているわけではありません。

たとえばカラーであってもかまいませんし、顔のアップでなくとも、背景に山や海が写っていてもいいのです。満面の笑顔であっても大丈夫です。たとえばミュージシャンなどは自分が歌っているときの写真を遺影にしたりしますが、それと同じです。

写真館や葬儀会社ではある程度他人が関与するため、なかなか自由には作れませんが、個人で作るのであれば誰にも邪魔されることなく、自分らしい遺影を制作することができるのです。

遺影はお世話になった人に向けた最後の「顔」

誰のために葬儀を行うのかと言えば、それは自分のためです。自分が主役となる最後のイベントをどれだけ満足できるものにするかは、他ならぬあなたの裁量にかかっていると言えます。

遺影というのは、故人がお世話になった人に向けて行うあいさつに必要なものです。ある意味、生前に関わりのあった人たちに向ける最後の「顔」です。

写真館や葬儀会社に依頼するにしろ、自分で一から制作するにしろ、大事なのはあなたが「これでよい」と思えるものを作れるかどうかです。どのような「顔」で皆に挨拶したいか、よく考えてから遺影作りに取りかかりましょう。