10年以上前までは「売れない土地はない」とまで言われていましたが、人口が減少し続けている今、売り出して半年から1年くらいの間土地が売れないケースが増えています。

その中でも近年増加しているのが、「相続した土地が売れない」という問題。所有者本人は都市部に在住しているものの、相続した土地は田舎にあるというケースが特に増えています。実際に住むことはできないから、売りたいけど売れない…こういった土地はどうすれば良いのでしょうか。

その疑問にお答えすべく、いくつかの方法をご紹介したいと思います。

1. まずは土地を「売り切る」ことを目標に!

「土地を所有していると固定資産税がかかるから、いらない土地は相続放棄すれば良い」…そう考える方も多いでしょう。しかし、相続放棄をして固定資産税を払う義務はなくなっても、その土地の所有権を放棄できるわけではないのです。
相続財産管理人(家庭裁判所が選出した弁護士が一般的で、故人が残した財産を管理してくれます)を選任し、相続財産を国の所有にすれば所有権を放棄することもできます。

しかし、そのためには数十万〜100万円程度のコストがかかるでしょう。今後予想される固定資産税の支払いと比較すると、あまり現実的な方法ではありません。

その土地を不要と考えるのであれば、例えタダ同然であったとしても売り切ってしまった方が良いでしょう。土地を売り切る3つの方法を紹介します。

買取業者や不動産仲介業者に相談する

土地を売る時に個人で買い手を探すこともできますが、ここはやはりプロの不動産会社に依頼する方が賢明でしょう。土地の売却をしてくれる業者にはハウスメーカーをはじめパワービルダーと呼ばれる建売分譲業者、土地の買取業者などがあげられます。

これらの業者に買い取ってもらうと、売却時の価格は実際の相場より安くなることが少なくありません。これは、買取価格から手数料や粗利益を差し引いているためです。

このような買取での取引を行う業者とは別に、土地売買の仲介を専門に行う不動産仲介業者もいます。これらの業者は土地を買い取るのではなく、土地の買い手を探してくれます。
買い手は個人も対象となる為、買取業者に売れなかった土地でも売却できる可能性があります。土地を処分しようと考えているのであれば、買取業者と仲介業者の両方に相談してみると良いでしょう。

高額買取が可能!?隣の土地の所有者に打診する

隣に打診
不動産業界には「隣の土地は倍出してでも買え」という格言があるほど、隣の土地の所有者と取引が成立しやすい傾向にあります。不動産売買においては、まず「隣の土地の所有者に声を掛ける」ことは基本中の基本だそうです。なぜなら、その土地と全く無関係の人よりも隣の土地を所有している人の方が、その土地の利用価値をよく知っているからです。

例えば、土地が広くなることで日当たりが良くなったり、駐車場を作ったり、増築できたりと、隣に土地を持っているからこそのメリットがたくさんあるのです。
そのため隣の土地の所有者と取引すると売却額も高くなる傾向があり、また取引自体も早く成立するので、不動産業者にとってもメリットが多いのです。

ただし、よく知っている相手だからこそトラブルも起きやすいので、基本的には直接交渉せず、仲介業者を通して取引をした方が良いでしょう。

便利な不動産一括査定サービスを利用してみる

なるべくその土地のことをよく知っている地元の不動産業者に依頼したいところですが、それでも売れない場合にはインターネットの不動産一括査定サービスを利用してみるのもひとつの手です。

これらのサービスの多くは無料で利用可能で、売りたい土地の情報や売り主の個人情報を入れるだけで全国にある複数の不動産業者へ査定の依頼をすることができます。

売りたい土地の情報がたくさんの業者の目に触れるため、今までなかなか売れなかった土地でも、その土地の価値や需要を見出して名乗りをあげる業者がでてくる可能性があります。

2. どうしても売れない場合は土地を寄付!

悩む女性
不動産業者に頼っても土地が売れない、いつまでたっても土地が売れず固定資産税を払い続けるのも大変な場合は、自治体などに寄付ができないか調べてみましょう。

ここでも3つの方法を紹介します。

自治体に寄付する…しかし難しいケースも

地方自治体では、新たに公共施設や道路を作る計画があるといった理由で土地を探している場合があります。売れない土地の寄付を考えた時に、一度自治体の窓口に相談をしてみるのは良い方法です。

しかし、その場合、寄付された土地は自治体が管理することになり、本来徴収するはずであったその土地の固定資産税も徴収できなくなってしまいます。

そのため、有益性のある土地でないと寄付を受け付けてはくれません。そもそも売れない土地を寄付しようというのですから、自治体への寄付は容易ではないと考えた方が良いでしょう。

個人に寄付する!贈与税が控除されるか注意

土地の寄付の中でも一番実現しやすい方法が、隣の土地の所有者へ寄付する方法です。前述のとおり「隣の土地は倍出してでも買え」という格言があるくらいですので、当然ながら寄付される側のメリットも多いと考えられます。しかも買うのではなく無償でというのですから、前向きに検討する人は多いでしょう。

ただし、この場合注意したいのが贈与税です。個人に土地を寄付する場合、寄付される側は資産が増えるので贈与税が課されることになります。しかし贈与税には110万円の基礎控除がありますので、土地やモノの評価額の合計が110万円以下であれば税金はかかりません。

また、寄付される側には所有権移転の登記費用を支払う必要があることも了承してもらいましょう。

法人に寄付する!公益法人なら可能性アリ

法人は大きく分類するといわゆる一般企業である営利法人と、公益性の高い公益法人等に分けられます。個人から営利法人へ寄付をすることは極めてまれで、法人が土地の寄付を受けた場合、法人税(受贈益として)や不動産取得税、登録免許税などが課され、管理費も発生します。そのため、会社関係者でもなければ寄付を受け付けてくれることはまずないでしょう。

一方、公益法人等への寄付の場合は、公益性が高い寄付とみなされ譲渡所得税が発生しません。そのため営利法人に比べると寄付を受け付けてくれる可能性は高いでしょう。
ただし、この場合は税務署の承認を受ける必要があります。

3. 活用できないかもう一度検討してみる

売れない、寄付も出来ない、でもなんとか固定資産税は払っていける…というのであれば、その土地を手放すのではなく、有効に活用できないかもう一度検討してみても良いかもしれません。

例えば物置きや倉庫として使う、趣味のための小屋を建てる、家庭菜園として使うなど、前向きに捉えてみると面白いアイデアが浮かぶかもしれません。

土地を売る場合長い目で見ましょう

相続したものの売れない土地がある場合、固定資産税を考えるとやはりなんとしてでも売り切りたいところです。

売りに出した土地が半年から1年売れないことは全く珍しいことではないので、なるべく多くの不動産業者に積極的に依頼をし、「売れたらラッキー」くらいの余裕を持って、ある程度のスパンで待つ姿勢も大事でしょう。